海と砂漠、灯台と宮殿 その次
ここ一ヶ月ほどでワールドを2つ作った。
The Edge
a Section
これまでの自分と比較するとかなり頑張ったので、簡単に振り返って残しておく。
私は人の作ったものに対しての文章が見たいので、みんなも多分見たいと思う。
The Edge
一昨年の12月頃に考えついて、去年の12月に公開した。そう考えると作るのに1年くらい掛かっている。(本格的になったのは去年の6月頃)
VRC3年目にやりたい事の1つに挙げていたため、完成して良かった。
私はなんと絵が描け、ペンタブも持っていたのでコンセプトアートを先に描き、それをベースに制作した。
以下、ワールドの好きな部分だけ記載していく。大体気に入っているので、大体書いていく。
テーマ
今回「基底現実で撮影した写真を組み合わせ、写真のフレーム外をワールドという空間で保管する」といったイメージで以下2枚の写真を選定した。
どちらも海の写真であったため、繋げて1つの島にするというアイデアが浮かび、練習も兼ねワールド作成に至った。
ワールド名には『写真の縁、端の場所』という意味を込めた。
灯台
上記写真の『間口港灯台』に居住空間を増設するイメージで現在の形に至った。灯台を調べていたら、イメージした形に近い『雄島灯台』が存在していたため扉のデザインはこちらを参考としている。シンプルで好きな感じに作る事ができた。
一番最初に制作に取り掛かったため完成までかなり時間を使ったが、今だったら休日1日使えばモデリング~テクスチャまでできるくらいにはなっているはずであってほしい。
LED灯器
灯台と別に書く。最初はダサかった。
が、フォロワーより資料を提供してもらったので良くなった。
進捗をツイートすると有識者が情報提供してくれる事があるのでお勧めしたい。
ソーラーパネル
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年7月4日
灯台と別に書く。私の撮影した写真から作成したため比較的説得力が出た。
実物を参考にすると、発電してLED灯器に供給しているという辻褄以上にケーブルの余り具合や雨が入らないようにケーブル保護チューブが下を向いている等実在性を含む要素に気付く事ができた。
灯台の上は狭く近くに寄って見れてしまうため、灯器、ソーラーパネルはそこそこ丁寧に作った。
扉
扉ができました(同期がまだうまくされない) pic.twitter.com/kCc4MKgiS3
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年12月14日
Udonもやっておきたかったのでやった。フレンドのご教示もあり、無事開閉の制御が追加できた。
扉には『開かない』『開閉できる』『閉まらない』の”3つ”の状態があり、また鍵が『上』と『下』の"2つ"付いていて、それぞれ『開け/閉められない』位置と『開閉できる』位置を持っている。最初にやるにしては結構面倒な実装をしてしまった。
上記あれやこれやをコライダーの判定と分岐処理でどうにか実装した。
また、持ち手をPickupして開閉する動作はUdonではなく、以下Boothの販売モデルを参考に、Unityのコンポーネントの処理だけで行えた。
ジョイントドアPrefabs - TsubokuLab Store - BOOTH
外側に鍵が付いていて灯台内に人を閉じ込められる事ができてしまうため、辻褄合わせのために地下通路を作る事になってしまう。(実際にVRC上では内側から鍵のPickupができて閉じ込められる事は無い)
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年11月28日
島
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年7月18日
地下通路となる洞窟も細分化した直方体でブーリアン→スカルプトの流れで作成した。
島は3に分かれていて、島と島の隙間の海のところが実在感が出て良かった。
海のシェーダー(RAKURAIOceanShader_v2.0 - RAKURAI WORKS - BOOTH
)の動きで足元が浸ったりする。
聴測所
写真の廃墟である『観音崎聴測所』を元に作ったもの。昨年の年末年始頃にTOKIOが実際に行ってくれたため、自分の写真以外の資料が確保できた。
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年7月28日
内部にある穴は"聴測"の名残で(みんなが落ちていくのをよく見る)実際にはソナーを海中に入れるための設備もあったみたいだが、面倒だし狭くなるので撤去した。
プレイヤーがこの島にどのようにして辿り着いたかという事を考えた時に「目が覚めたらなんか分からないけどいた」みたいな雰囲気にしたかったので、スポーン地点としベッドを置いた。また、出入口に元となった写真があからさまな感じに置いてある。
恐らく、本物よりサイズが大きくなってしまった。
電柱・電線
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年10月26日
実際の電柱を参考に作成し、聴測所に後付けした。聴測所上部のソーラーパネル→電柱上部→電柱に設置された箱(蓄電池の想定)→傘付き電球/室内に分岐という配線の流れとなっている。ソーラーパネルは灯台のものと比較して大きくしすぎた気もしたが、こちらの照明は白熱電球で消費電力が多いからパネルがデカいという事にしておく。(聴測所は暖色、灯台は寒色と色を分けた)
ソーラーパネルの配線と異なりこちらは想像で配線しなければいけなかったため、大変で時間も掛かったが、初めてにしては良いディティールが出せたと思う。
木の板
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年8月22日
薄く伸ばしたキューブを重ねてブーリアンで割った。
一番下の木材は丸太にしようと思ったが、年輪のテクスチャが用意できなかったので角材にして違和感を減らした。
家具
まとめて書く。
ベッド
ベッドの資料を集めて1日でできた。後からBlenderのクロスを使ってみたら意外と良い感じにできた。灯台に無理やり住んでる感がほしかったので少し硬そうでリネンのザラザラしてそうな感じにした。
ソファ
1日でできた。ベベルで丸くして柔らかそうな感じにした。元々灯台も全てベベルをかける予定だったがうまく出来なくて断念していた。これは後にスケールの適応の関係と判明した。
ダンボール
テープの反射が気に入っている。
TV台
木の組み方は自宅の本棚を参考に組んだ。側面と天板の木材に段差を作ったり等を意識した。
LEDランプ
手抜き。今後は照明部分のグラデーションとかをちゃんとやりたい。
蛍光灯
会社のビルの階段の物を参考にした。電球のベイク結果がすごく汚くなっている。
テーブル
聴測所にあり、写真が置いてある。アンティーク系な感じの家具を参考に作ったら思ったより短時間で意外と良い感じにできて良かった。
TV
TV周りだけ家具とは別に書いていく。
できた 9型ワイドカラーテレビ pic.twitter.com/UbxhS0swiL
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年9月5日
『SONY トリニトロンカラーテレビ 9型 KV-9AD1』をベースに作成し、iwasyncでの動画再生を想定しているため、アスペクト比を16:9とした。(おおよそだが実際のサイズにスケールも合わせた)
画面が湾曲していたり、全体的にベベルがかかっていたため作るのには一週間ほどかかった。実際のブラウン管同様、画面の前にガラスがあるため、Lightで照らすと画面が見えにくくなったりする。今回面倒で実装しなかったがちゃんとやればアンテナを伸び縮みさせる事もできるはず。
良くできはしたが、9インチは結構見づらかった。不便をお楽しみください。
iwaSyncデッキ
iwaSync用のデッキできた(iwaSync自体の導入がうまくできてないみたいで映像が再生されない) pic.twitter.com/z6mA9PCLe0
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年11月13日
自分のワールドではUIがそのまま壁に沿って浮いているのはやりたくなかったので制作した。
これのせいでまた配線を行う事になる。UIが光っている感を出すために前面にライトを置いてベイクしている。
デッキは『URL入力+シークバーのデッキ』と『プレイリスト+キューのデッキ』の2つに別れており、URL入力→プレイリスト+キュー→TVの流れで配線されている。
TV配線
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年11月11日
電源は灯台の屋上にあるソーラーパネル→蓄電池→外壁→灯台内部(モール)→コンセントの流れとなっており、コンセントにはTVとデッキ2種の電源ケーブルが接続されている。(差し口が足りなかったため、二又のタコ足配線にしている)
最初はコンセントからTVまで一直線に配線したが、「こんな都合の良い長さのケーブルは無いだろ」と思い余剰を巻いて置いた。台の裏にも余ったケーブルがぷらぷらしている。
モールに沿ってミラーが出るのも気に入っている。
他
テクスチャはSubstance Painterで作り、大体はタイリングテクスチャにした。
ライトベイクはBakeryで行った。ライトプロファイルや、Directional mode SHの情報をVRC用に変換するもの(しっかり理解できていないので表現に誤りがあるかも)を教えてもらい良いディティールが出せた。
— ᴹᴬᴺᴱ (@watchssri) 2021年12月18日
灯台は以上。
a Section
こちらは書く事が少ない。
ワールドのテーマは3年前自宅用に作ったワールドを壊したいなあと元々思っていたのと「今なら壊すくらい簡単だろう」という気持ちがあったので制作した。実際一ヶ月かからずにやりたい事はできた。
実際に元のメッシュをブーリアン(Cell Fractureアドオンも使用)で90~100分割ほどしているため集めればおおよそ復元できる。(過去にCell Fractureを使おうとした事があったが、UVの保持の仕方が分からなくて断念した)
分割したものを手作業で砂漠に刺しており、一応導線も考えているしミラーも置いてある。
陸地は一応雪ではなく砂の想定で「Blender 砂丘」で検索したら出てきた『A.N.T.Landscape』という公式アドオンを使用し、大枠は1時間かからずにできた。
サイズ感、ポリゴン数は悩んだが1750m四方、100万ポリゴンとしたが、1mあたりの頂点数で見ると多くはなく砂丘の稜線が滑らかにならなかった。
それでもそこそこの雰囲気は出せたと思う。
また、MeshColliderを大きいメッシュに適応すると、カメラをPickupして動かした時に負荷が発生しfpsが低下する事が判明したが、長期滞在やHomeワールドにされる事は少ないだろうと思ったのと、”””抗い”””として残しておいていいだろうと思い許容した。
ライティングに関しては、ベイクすると『昼で明るい+大きい+白い』の三重苦でノイズを許容するか、巨大容量ワールドにしてしまうかの2択を強いられてしまったため、最終的にリアルタイムに落ち着いた。元のワールドもリアルタイムだったのと、アバターの影が落ちるのは画として面白かったのでこれは正解だったと思う。(元のワールドは影無しだった)
破壊前では大体80m四方ほどの大きさがあったので壊すと迫力があって良かった。
元々「死んだらここにいきたいな~」というイメージで作った場所を壊したので、死ねなくなった。ただ元のワールドは全然普通に残っているしホームワールドにしてある。覚悟という感じです。
次
ワールド制作のノウハウはそこそこ貯まったし、ワールドばかりやっていて写真が疎かになっていたので、VRCの写真を飾る個展用のワールドをやりたい。
去年は本当にVRC内で写真をやっている方、基底でもカメラを購入した方が増え、バーチャルフォトグラファーなんて肩書も一般化してきた。自分で言うのは少し恥ずかしいが、自分が先駆けだと思っているので絶対負けていられない。
誰でも気軽に名乗れるもので良いと思うが、自分はワールドというのは現実の景色と異なり『一個人が込めた願いや意図』の割合が多すぎると考えており、他人の作ったワールドを撮影しているだけで、そう簡単に「なんか写真でやってますよ」みたいな感じで名乗って良いものなのかというつっかかりがずっとある。
念のため、自分の気持ちの問題で他人を否定する意図は無い。 事実として自分が作ったワールドの写真がツイートで流れてくると私も嬉しいし、そもそも依頼されて撮影するようなケースも増えてきている。
現実の写真では、風景写真やスナップ、ポートレートのような『既にある景色』を撮影するものと、スタジオで物を配置、照明を調整しじっくり撮影する『自分で世界をつくり』撮影するもので大きく2つに分けられる。
VRCでの写真については、ワールド作りと後者の自分で世界をつくり撮影するものと相性が良いのではないかと予想している。もちろん既にあるものを撮影する事でも良い写真は撮れると思うが、今の自分がやりたい路線では限界が見えてしまっている。
自分で撮影用のワールドを作り、そこで撮った写真を飾り、公開するワールドも作る事で仮想光画の一つの極地に至れる、つっかかりが本当に無く自分が納得できる写真が撮れる気がするのでとりあえず実践して確認したい。
ただ全て自分で作り、自分で撮影する場合「3Dレンダリングと何が違うのか」という問題が発生する。これは仮想光画の課題として大きい気がしていて、今後も考えていかなければいけないと思う。
書きたい事は書いたので終わる。
ワールドやアバターの撮影依頼とかももらえると普通に嬉しいし、自分の写真も見てくれると嬉しいです。なんか傲慢かもしれませんが。